悪化しなければ吐き気は24時間で治まり、全経過は2〜3日で治まる。水が飲めるのであれば、夜中に慌てて病院に駆け込む必要はない。ノロに対する特効薬などなく病院でやることは脱水に対する点滴だけである。下痢嘔吐がある時に安易に受診すれば感染を拡大しかねないので注意したいところである*2。症状が治まってもウイルスを排出しているので、外出を控え人に移さない配慮が必要だ。東京都健康安全研究センター微生物部ウイルス研究科の報告によれば、便からのウイルスの排出は1～3週間程度続き、7週間を越える排出もあったとの事である*5。
■消毒
感染性胃腸炎にかかって真っ先にしたこと（してもらったこと）は消毒である。自分が触れたところートイレ便座、トイレレバー、トイレ床、水道の蛇口、電灯のスイッチ、ドアノブ、電話などなどーを塩素系消毒薬*3で拭き、用いた紙タオルや手袋、マスク類はビニル袋にいれ密閉して捨てる。アルコール消毒は効果がない*4。また、感染者は症状が消えてもウイルスを排出しているので、継続して消毒をする。
※塩素系（次亜塩素酸ナトリウム）消毒薬の作り方
市販の家庭用塩素系漂白剤（次亜塩素酸ナトリウムの濃度約５％）で作れる。商品によっては1〜12％の濃度があるので、ラベルで確認して水で薄める*6*7。
【日常の清掃時の消毒】
０．０２％次亜塩素酸ナトリウム液
【ペットボトルと、市販の家庭用塩素系漂白剤で作れます】
５００ｍｌペットボトル１本の水に、家庭用塩素系漂白剤の原液（濃度５％）を、ペットボトルのキャップ半分（約２ｍｌ）を加える。
【器具消毒・汚物処理用】
０．０５％次亜塩素酸ナトリウム液
【ペットボトルと、市販の家庭用塩素系漂白剤で作れます】
５００ｍｌペットボトル１本の水に、家庭用塩素系漂白剤の原液（濃度５％）を、ペットボトルのキャップ１杯（約５ｍｌ）を加える。
【吐物・汚物を処理した物品の消毒用】
０．１％次亜塩素酸ナトリウム液
【ペットボトルと、市販の家庭用塩素系漂白剤で作れます】
５００ｍｌペットボトル１本の水に、家庭用塩素系漂白剤の原液（濃度５％）を、ペットボトルのキャップ２杯（約１０ｍｌ）を加える。
【濃度に応じた、水と原液の比率の求め方】
水の量（ｍｌ） × 作りたい次亜塩素酸ナトリウム液の濃度（％） ÷ 原液の次亜塩素酸ナトリウムの濃度（％） ＝ 水に加える原液の量（ｍｌ） で求めることができます。
「ノロウイルスに対して有効な消毒薬の作り方」より（北海道後志総合振興局保健環境部保健福祉室）
こちらの作り方も視覚的でわかりやすい。（福山市「ノロウイルス対応マニュアル」付録）
■トイレ
感染性胃腸炎の症状のひとつである水様下痢便。この跳ね返り実験をしたところがある。長野県北信保健福祉事務所だ。このエントリーでぜひともご紹介したかった記事だ。
実験は３つで、和式トイレでの水様下痢便の跳ね返り、洋式トイレでのそれ、そして排便後肛門拭き取り時の手の汚染実験だ。
これでわかるのは和式トイレでの靴やズボンへの飛散、便器周辺の広範囲に渡る飛散の状況だ。臀部への跳ね返りは和式、洋式共にある。
驚いたのは拭き取り時の手の汚染である。トイレットペーパーで覆われていなかった親指の付け根付近と、衣服の袖口まで汚れているのである。
具体的な汚染状況がわかると、対策もとりやすい。ぜひご一読を。
▶トイレを起点とするノロウイルス汚染拡大の検証（長野県北信保健福祉事務所）
▶長野県北信保健福祉事務所のトイレ研究がすごい！（手洗いの方法も書かれている）
*1NHK NEWS「ノロウイルス感染経路と予防策は」（2012/12/5）
*2ノロウイルス流行に関するネット上の医師達の声
*3家庭でできるノロウイルスの消毒法（東京都健康安全研究センター）
*4ノロウイルスとアルコール消毒のおはなし〜エンベロープってなに？
*5ノロウイルス陽性となった調理従事者の陰性確認検査―東京都
*6自宅にある花王キッチンハイターの商品ラベルを確認したら濃度は明示されていなかった。確認できたのはアマゾンにあるキッチンハイター
、商品の仕様欄。６％とある。*7 花王さんから丁寧な回答をいただいた。商品に濃度を明記しないのは「長期保存などで徐々に濃度が低下していく」ためとのこと。また消毒用の配合率を記したページも教えていただいた。
次亜塩素酸ナトリウムを含む花王の塩素系漂白剤について教えて
