上越市に特定非営利活動法人かみえちご山里ファン倶楽部がある。そちらがまとめた書籍「未来への卵 −新しいクニのかたち− かみえちご山里ファン倶楽部の軌跡」が面白い。
扉に活動の紹介がある。
豊かな自然と人々の暮らしに育まれた新潟県上越市の西部中山間地を中心として、里山・里海の地域振興(まちづくり)、環境保全、文化・芸能の継承・育成などに取り組んでいるNPO法人。
森林公園(くわどり市民の森)や環境教育施設(地球環境学校)などの公的施設の管理運営(受託事業)のほか、小正月行事や地域清掃などの地域活動の支援、地域資源調査・記録、地域資源を活かしたイベント(里山体験、農業体験、伝統文化体験)などを行っている。また、インターン生の受け入れや生活技術の講座など、地域外の人々をつなぐ事業も展開している。
借りて読んでいたのだが、分量が多くて期限までに読みきれないのと、内容がよいので手元に置きたくなった。ネット書店では取り扱っていなかったので発行元である「かみえちご地域資源機構株式会社」に電話した。メールでもよかったのだが、直接お話したい気持ちになった。
事務的な手続きのあと、どのようにしてこの本を知ったか訊かれた。友人のブログにあったこと、その友人が内容について少し話してくれたこと、手にとって見てよい本だと思ったことなどを伝えたら、嬉しそうな声が聞こえてきてこちらも嬉しくなった。
補稿にある「協働幻想から協働へ」は以前より感じていたことを、かみえちごさんの活動の中から指摘、論じられている。指定管理者制度で行政から民間へと管理を移行していく中で、行政にはできないことを民間の力を借りてということがタテマエになり、結局は経費の合理化が目的化され、行政によるワーキングプア創出という事態を招いているという問題。これは全国各地で多く起きていることだろう。NPOを人件費のかからない委託先と勘違いしている行政担当者には、ぜひとも読んで欲しい論考だ。
同じく補稿の「NPOの公共性と独裁制」も組織論として興味深く読んだ。
NPOに関わっている人(委託している人も)、地域振興、グリーンツーリズムに関わっている人、田舎暮らしに興味のある人は是非目を通していただきたい一冊。
上越市立図書館所蔵。
「未来への卵 新しいクニのかたち かみえちご山里ファン倶楽部の軌跡」 /NPO法人かみえちご山里ファン倶楽部編/かみえちご地域資源機構株式会社(025-545-0203)発行/2008年4月30日発行/本体3000円