11/27/2010

トルコの宗教と兵役

【宗教】
トルコの99%の人はイスラム教である。しかし教えをきちんと守る人は10%であるという。
トルコ人は常時名刺大の身分証明書を携行している。その中には氏名、性別、家族、結婚しているか否か、宗教などが記載されている。日本の戸籍に記載事項を増やした感じか。この身分証明書を発行するのは出生時。その時に宗教も申告するのであるが、申告するのは本人ではなく親となる。従って本人の意思とは関係なく親が申告した宗教が、自分の宗教となるのだそうだ。


トルコは政教分離を表明しているので、義務教育に通う子どもたちと公務員はスカーフ着用が禁止されている。家庭の方針でスカーフを着用している人も、学校や職場の前に来ると外すのだそうだ。大学では自由となる。

西部地方の町を回りながら最後は大都市イスタンブルに入ったわけだが、スカーフ着用率は都市の方が低くなる。 地方の町では年配女性はほとんどスカーフを着用していた。また、宗教色の濃い、古都コンヤでは年齢に関係なくスカーフ着用率が高かった。

【兵役】
18才以上の男性には15ヶ月の兵役が課せられている。大学、大学院に通っている場合は延期ができる。健康上問題がない限り逃れることはできない。中東の国々と接する東部に配置されると、命の危険もあるため、兵役から逃げる若者が多いとガイドは話す。ご自身も大学に続けて2つ通い、逃れきれずに30才で兵役についたとのこと。
例外的に外国で3年以上働いた経験がある場合、150万円国に支払えば期間を1ヶ月に短縮することができる。しかし150万円は庶民にとって容易に準備できる金額ではない。

トルコの国民的人気歌手タルカンの兵役が問題になったことがある。彼も外国に逃げたりしたそうだが、ようよう逃げ切れずお金を払って1ヶ月兵役についた。この時、国民から非難されたそうだ。兵役から逃げるということが非難の対象とのこと。
 件のガイドも嫌々兵役に15ヶ月赴く。しかも東部の国境近くに配属されてしまった(運が悪い)。同じ壁を7回同じ色に塗り替えさせられるといった無意味な仕事ばかりだったと言う。彼の20代の弟さんも現在兵役から逃げている。が、彼は言う。兵役に行かなければならないと。自国を守るのは自分たちであるとの気持ちを今は強く持っているのだそうだ。
 
トルコの軍事費は国家予算の60%を占めているそうだ。そのため、国の発展のためにお金が使えないとガイドは言う。しかし、緊張関係にある隣国から自国を守るために必要なお金でもあるとも。

兵役期間中、給料が支払われるが、その額は1ヶ月3,000円。食事や制服、寝床は無料で支給されるが、煙草代にしかならない額である。所帯を持っている人は、この間残された家族の生活が非常に困窮する。また兵役前に勤めていた仕事をやめていくのだが、戻ってきてから復職できるという保証はないとのこと。ただし公務員は別。