いつもの持ち物をザックに入れて家を出た。ノートパソコンがあるので、いつもの手提げでは重いと感じていたが、背負うとどうということはない。
桜並木は紅葉している。妙高山は裾の方まで色づいてきた。道路両脇の森からは鳥の鳴き声が賑やかにきこえてくる。地域の人が手植えした紫陽花がきれいな青色を保っている。
ペンションCの手前ですれ違った女性に朝の挨拶をする。「登山ですか」「いえ、通勤です」「私は毎日歩いていますけど、歩くのは本当にいいですね」
樹齢をほこるウダイカンバのところで立ち止まる。近くの低木が黄と赤に色づき、白い木肌を引き立てている。絵になる。森林公園を歩く人影。何かを探しているようだ。キノコか。
ここのところ毎晩調べものをしているのだが、整理しきれていないあれこれが歩きながら浮かんでくる。ふと繋がりがひらめいたりもする。テニスコートを突っ切り、ペンション街に出る。平日の朝は静かだ。事務所の玄関には犬。おやっという表情をしている。いつもとは正反対の方向から歩いてやってきたからだろう。