午前中いらしたお客さんとテレマークスキー談義。
話していてテレマークスキーを買った動機を思い出した。それは10年以上前に毎日新聞で連載されていた、ネイチャースキーの記事だった。東京で木風舎というアウトドアの会社をやっていらっしゃる橋谷晃さんが、野山でスキーをする楽しさを綴っていらしたのだ。
それまでスキー場でアルペンスキーしかやったことのなかった私にはとても新鮮だった。ツーリング用のクロスカントリースキーで低山歩きを始めたばかりだっ たが、道具に物足りなさも感じていたのだった。テレマークスキーを試しに地元のショップに走った。理想的な道具だった。週末になると車にスキーを積ん で、雪のある歩けそうな所へでかけた。歩ければどこでもよかった。その頃初めて妙高高原に来たのだった。
テレマークスキーは森の中を歩くための道具、というのが私の原点。スキー場まで5分の所にいながら、熱心に通わない理由は、怠け者というだけではないのだ。
お客さんがスキー場に向かわれたあと、お天気もいいし、犬を連れてちょっと歩いてこようという気持ちになった。
ビジターセンターに車をおいて、イモリ池、白樺の小道あたりから歩きはじめた。まだ薮が完全に寝ていないが問題はない。リブランの森遊歩道からいつもの森へ入る。
元気な犬もスキーの速さには勝てないようだ。それでも舌を出しながら一生懸命ついてくる。
途中、茶色の毛の小動物が目の前を横切った。テン。
それまでずっと私のあとをついてきた犬が、テンの足跡を追いかけて先をいく。匂いが新しいのだろう。残念ながらもう姿は見えない。
森の小屋でサンドイッチを犬と分け合う。
帰りは行きとは別のルートを歩く。雪がまだ足りなくて沢が出ている。わずかにできているスノーブリッジを渡る。長さのあるスキーだから出来る芸当だ。スノーシューではちょっと厳しい。ここで犬が躊躇する。警戒心から後ずさりし、吠え立てる。他のルートを示唆するが、結局私の渡ったブリッジをおそるおそる来た。
池の平のペンション街に到着。どこかで曲がり損ねてしまった。ビジターセンターまでちょっと距離があるが仕方ない。できるだけスキーで行ける所を選んで進む。
ゆっくりとあちこち巡りながらの散歩は約2時間。犬は相当くたびれた様子で、午後はずっと横になっていた。明日も出かけるぞ。