7/29/2009

こどもの話し合い


小学3年生の男女10人が、秘密基地をどこに作るか相談を始めた。一通り森の中を回りながら、よさそうな場所をみてきたのだが、最後にたどり着いた広場に以前誰かが作った基地の一部があった。2本の立ち木の地上1mほどのところに杉の丸太が横に縛り付けられ、程よい太さの丸太が並べてあった。

ここがいいと2,3人が言い出す。これを利用して作れば面白そうだと。そうだ、そうだと賛同する者が7人。どこでもいいとやや消極的な者が2人。一人だけ反対を表明。「ここだとどこからも見えて秘密じゃないし、お店屋さんみたいだ」というのが理由。
たしかに広場の中心なので、秘密基地という雰囲気ではない。

全員が納得して取りかからないとつまらないから、それぞれがよいと思う点を説明しようと促す。7人はやや興奮気味にその場所の長所と、そこで作りたいイメージを言葉にする。反対表明したこどもは「お店屋さんみたい」という表現以外で言語化することができない。自分がいいと思う場所へみんなを案内したらどうかと促すと、他の者達はしぶしぶ後をついてきた。歩きながらぶつくさと不平をいう者もいる。

小道から薮をはいると、2本の立ち木のまわりがぽっかりと空いた場所があった。反対表明していたこどもが、こんな場所なのだと言う。前言を翻し、この場所が気に入ったと言う者が増える。最後にただひとりだけ、先ほどの場所にこだわるこどもがいた。つい5分ほど前と状況は逆転。

こだわっているこどもに先ほどの場所の何が気に入っているのかをたずねると、木で出来たテーブルと椅子だという。誰かがここで作ればいいじゃないかという。そして、そのこどもにどうするかを再度意見をきいている。少々ふてくされた口調でそのこどもはいう、「ここでいいよ」。すかさず隣にいたこどもが「ここで、じゃなくて、ここが、じゃないと納得していることにはならないよ」。

そばでは、この場所でどんな罠を作るかとか、ターザンロープをあの枝からたらそうとか、屋根はいるかとか、梯子を作って二階にいきたいとか、様々なイメージを話すこどもたち。それを聞いてかどうかはわからないが、「ここでいい」と言っていたこどもが立ち上がって「ここでやろう」と言い、雑木を切り始めた。

一時降り止んでいた雨がまた降り出す。しかし彼ら彼女らの秘密基地は葉が生い茂っていて雨があたらない。夢中になって頭の中に描いている秘密基地を作っている10人。私はノコギリ作業のサポートのみしている。