9/03/2009

中学生

予定では長期宿泊に携わっているはずだったのだが、新型インフルエンザの関係でそちらが中止となり、中学生の2泊3日の旅行に携わる事ができた。これがとても楽しいものだった。


中学1年生の生徒が旅先を選択し、代表の生徒が私と交渉してきたあの旅行だ。中心となって旅行をすすめてきた生徒と実際に過ごしてみると、その能力の高さに驚かされることが多かった。集団全体の雰囲気を読み、臨機応変に予定を変更し疲れた人を気遣う。自分だけが出過ぎないよう他の人をもり立てる。
40名以上の集団となれば色々な人がいる。中には我が侭が出てしまう人もいるが、けしてその人を責めたりしない。その人は現在そういう状態なのだと、あるがままを受け入れカバーにまわる。なかなかできない事だ。
(というか、自主自立を重んじ、教員は口出しをしないという環境が、このようなリーダーを育てる事になるのだなと感じる。大人が先回りしていたら、自分で考える事をしなくなる。それはその人の能力を伸ばす機会を奪うというものだ。)
(そして、彼らも当然悩みながら、試行錯誤しながらやっている。)


代表の生徒には計画段階で一度会っていたが、その他の生徒達とは初対面。初日の夕食時に彼ら全体に話しをする機会があったのだが、おしゃべりを止める事から始まった。しかし、1分と保たない人が10人ほどいる。かなり消耗する。

2日目になるとその人数は半減する。スズメバチの注意のときなど、誰ひとりとしておしゃべりせず目は真剣そのもの。大切な話とそうでないと思われる話とを峻別しているのかと感じた。また一度話した事について後からきいてくる人がいないことも彼らの特徴。たいてい「さっき説明したでしょう」と何度も言うはめになるのだが、それはまったく無しだった。

これは3日目のそば打ちの時に更に感じる。今回のそば打ち指導者はかなり本格的な内容を教えていたのだが、全員がそれについていけていた。おしゃべりの声が響くが、やる時の集中度は高い。難しい作業を途中で投げ出す人もいない。班の4人であれこれ言い合いながら協力しあっている。

丁寧な作業で指導者から褒められる生徒がいると、他の人も刺激を受けるのか現状以上のものを目指そうとするのもいい。マイナスの方へ引っ張る人がいない。中学1年生にありがちな悪ふざけをする級友に対し、やめろよとたしなめる人もいる。

そば打ち指導の補助に入ってくださった方が、「とても礼儀正しくて熱心な生徒さんたちですね」と私に言ってくださった。それを彼らに伝えると、一同大声で「エーーー??」とそんな事はないといった意思表示をしたが、そんなことはある。初日彼らのおしゃべりに消耗したのが嘘のように感じられた最終日だった。

移動のマイクロバスを待たずに歩こうと提案すると、「あるこ〜♪ あるこ〜♪ わたしは元気ー♪」とトトロのあの歌を歌い出す彼ら。かわいすぎる。



東京へ向かう大型バスに乗り込んだ彼らが、一斉に窓を開け見えなくなるまで手を振ってくれた。その表情は活動中の大人びたものとは別のものだった。
やはり私は、こどもと大人の中間にいるこの年代が好きだなぁ。