8/09/2009

越後妻有アートトリエンナーレ/雪室宿

松之山・大厳寺高原に展示されている山田健二さんの「雪室宿」を鑑賞。
画像が切れているけれど、英文タイトルのbooking void in Matsunoyama のinは innの間違い。

雪室の入り口。随分昔に作られたものの、2年くらいしか利用されていなかったものとのこと。昨年秋には受付となっている茅葺き小屋の茅刈り、その後、山田さん自らピーターや重機を操って雪をかき集め巨大な雪室を再生した。

入り口から細いトンネルが続く。入った瞬間にひんやりとする。受付ではんてんを貸してもらえる。
雪室の内部。藁のスリッパに履き替える。奥には雌雄の熊の皮が道祖神として祀られている。
床の部分は砂を詰めた袋が大量に敷き詰められている。日本酒、ニンジンジュースがあり、希望すれば中で戴くことも出来る。

零度。ここまで本格的な雪室の中に入ったのは初めて。ニンジンジュースはシャーベット状になっていて常温に置いたものより甘みを感じる。ものの細胞が整うためとのこと。

観賞後、受付の茅葺き小屋にお邪魔する。お客さんたちと談笑する作者、山田健二さん。山田さんは雪室の補修やら作業があり、ほぼ毎日いらっしゃるそうだ。

低い声で「雪はすごいです」とぽつりぽつりと語り始める。言葉は多くないのだが、深く沁み入る。以前、雪の秋山郷・鳥兜山で2ヶ月過ごすというプロジェクトをされた経験が、今回の作品へと繋がったそうだ。

8日に参加した南雲由子さんの「Scrap and Bride」でも感じたことだが、消えかかっていた地域の伝統を若者がアートで再生している。そしてそれは地域の人々との恊働によって、新しい価値観を付加している。

雪室宿は山田さんの強靭な体力と膨大な時間、地域の人たちの協力を得て出現した「場」だ。この場所で会期中に新しい「何か」が生まれる予感がしてならない。再訪したい作品である。