4/21/2009

餃子ロード 甲斐大策著

初めてその名前を知ったのは松岡正剛氏の千夜千冊でサイードの書評を読んでいる時だった。3行足らずの紹介だったのだが、まず書名にひかれた。餃子が好きだからということもある。

いったいどんな人なのかと調べてみると、その経歴は型破り。
甲斐大策氏は画家である。父親の甲斐巳八郎氏も画家であった。満州大連に生まれ、11歳で福岡県宗像に移る。早稲田の東洋美術史科の出身。60年代後半からアフガニスタンに入りはじめ、アフガン人と義兄弟となり自らもムスリムとなる。20年以上に渡りイスラム世界と関わってきている。

早速取り寄せてみると、書名から想像していた内容とは随分異なり、硬質な文章で旅先で出会った人、土地、生活、風俗、思想、歴史等を点描する。

餃子は北緯30度線から40度線のあいだの大陸に必ず登場する食べ物だという。餃子を愛して止まない著者である。巻末には数ページに渡り水餃子の作り方が載っていたりする。旅するどの地でも餃子が登場するのだが、しかしそれはほんの脇役にしか過ぎない。アフガニスタン、パキスタン、シルクロードで生きる人々の息づかいや街角の匂いが、少々の苦みとともに伝わってくる。そしてかの地の事を私は何も知らないと痛切に感じるのだ。

著作をまとめて読んでみたい人だ。

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